夏の奇跡の輝きで

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亜貴と一緒にコテージについたら、総司は当然のように亜貴が最下位だと言い張って、買い出しを命じていた。 本当はかき氷が食べたいと言っていたけれど、亜貴が「水買ってくるから」と言ったら、さすがの総司も閉口していた。 真昼間から酔っている二人を心配しているのだろう。亜貴は優しい。 「梢ちゃんもパーカー脱いでよ~」 亜貴の後ろ姿を見つめている間に、朋美が目の前に来ている。右腕に総司が絡まったまま、目の前の朋美がにっこりと微笑んでいる。 「ともちゃんはもう見たんじゃねえの〜?」 「うん、ここのロケーションで、あの奇跡の可愛さを見たいよね」 「こずの水着! あっくんが来る前にお披露目しよ」 「あ、いいね。独り占めされたらもったいない」 「ええ? うわ、朋ちゃんっ!」 勝手にパーカーのファスナーを下した朋美が満足げに笑っている。 ブルーのショルダーフリルが視界にあらわれて、慌てて両手で隠した。もったいぶるほどでもないのに、二人がまじまじ見てくるから気恥ずかしい。 どこかで気付いたら水着姿になっている、みたいな展開になればと思っていたのに、呆気なく崩れている。 「おお~」 「私の目に狂いはないでしょ」 「うーん、まあ、でも俺の方が絶対似合うやつ探せる」
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