夏の奇跡の輝きで

13/30
前へ
/442ページ
次へ
「ソージは清楚路線を狙いすぎだから」 「こずの性格を反映させてんじゃん」 「勝手に盛り上がらないで」 朋美に奪われたパーカーに苦笑して、いよいよ覚悟を決めた。胸元が綺麗に開いた水着は、着ているだけで気恥ずかしい。 確かに総司なら絶対に選ばなさそうなものだ。 実際に、先週総司から送られてきた通販サイトのURLに飛んだら、白いワンピースタイプのかわいらしいデザインの水着が映されていた。私が選ぶなら、確かに総司の方だったと思う。 「まあ、梢ちゃんの奇跡のおっぱいを晒さない手はないからね」 「こずにセクハラは反対だからな」 「ええ~? でも亜貴くんは喜ぶかもよ?」 「んん~、あっくんはむっつりだからなあ」 「ちょっと、亜貴が風評被害受けてる気がするんだけど……」 そもそも亜貴は、私をそういう対象に入れてくれていない。 何度一緒に寝ても関係が変わることはなかったし、手を繋ぐ以上のことをしたこともない。反論できないままわだかまった。 私と亜貴の付き合いが、普通の恋愛の上に成り立っているものじゃないだけだ。ただそれだけ。 亜貴は私を好きにならないし、私も亜貴を好きでいてはいけない。気まぐれに好きになっても良いよなんて言うけれど、好きにならないことを知っているからこそ言える冗談でしかない。 私がどんな格好をしたって、亜貴の中の私は、幼稚園児のころの私と同じものでしかないのだろう。
/442ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4031人が本棚に入れています
本棚に追加