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「ソージは清楚路線を狙いすぎだから」
「こずの性格を反映させてんじゃん」
「勝手に盛り上がらないで」
朋美に奪われたパーカーに苦笑して、いよいよ覚悟を決めた。胸元が綺麗に開いた水着は、着ているだけで気恥ずかしい。
確かに総司なら絶対に選ばなさそうなものだ。
実際に、先週総司から送られてきた通販サイトのURLに飛んだら、白いワンピースタイプのかわいらしいデザインの水着が映されていた。私が選ぶなら、確かに総司の方だったと思う。
「まあ、梢ちゃんの奇跡のおっぱいを晒さない手はないからね」
「こずにセクハラは反対だからな」
「ええ~? でも亜貴くんは喜ぶかもよ?」
「んん~、あっくんはむっつりだからなあ」
「ちょっと、亜貴が風評被害受けてる気がするんだけど……」
そもそも亜貴は、私をそういう対象に入れてくれていない。
何度一緒に寝ても関係が変わることはなかったし、手を繋ぐ以上のことをしたこともない。反論できないままわだかまった。
私と亜貴の付き合いが、普通の恋愛の上に成り立っているものじゃないだけだ。ただそれだけ。
亜貴は私を好きにならないし、私も亜貴を好きでいてはいけない。気まぐれに好きになっても良いよなんて言うけれど、好きにならないことを知っているからこそ言える冗談でしかない。
私がどんな格好をしたって、亜貴の中の私は、幼稚園児のころの私と同じものでしかないのだろう。
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