夏の奇跡の輝きで

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亜貴は、どうしようもなく傷ついているだけ。私が好きなわけじゃない。 きっと、私と二人で、傷つかない世界に行ければいいのにと思ってくれている。今はあの二人を直視する勇気がぼこぼこになって、ただ傷をなめ合っているだけだ。 好意なんてない。だから、こんなことで揺さぶられたりしてはいけない。 ちかちかする視界の中で、何度も戒めている。大きく息を吸って、茶化すように笑った。本気にしたら、全部が終わってしまう。 「あまえる亜貴、めずらしい」 「もう、世界から俺とこず以外、なくなったらいいのに」 「ふふ、おおげさだよ」 「このまま、逃げ出しちゃおうか」 どんな顔で囁いているのだろう。亜貴は私に見せたくないみたいに首筋に額を押し付けて、ただ口遊んでいる。 くるしいだけの現実から逃げたって良い。けれど、それがあの二人を傷つけることならば、きっと私も亜貴も、その道を選択することはできないのだろう。 何も言えないまま、黙り込んだ。その束の間に亜貴の腕の拘束が緩む。 「あき」 誰よりも近くに亜貴がいる。亜貴のダークブラウンの瞳の神秘を覗き込んで、同じように覗き込まれているような気がした。小さく笑ったら、亜貴がようやく笑った。 「髪、乾いてきたね」 「うん。水着も乾いたよ」 「そっか。よかった。寒くない?」 「ふふ、あっついよ」
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