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花火のような恋が砕ける
夕飯は、コテージの脇でバーベキューをすることになっていた。
大層立派な焼き台に、総司のテンションは上がりっぱなしだ。亜貴が購入してきた水を2本半消費している総司は、いまだに陽気な調子のまま軍手をはめていた。
火おこしは任せてとピースサインを作った総司に、あきれ顔の亜貴がついて行ったのがおかしい。
「梢ちゃん、キノコ類、どうする?」
「ああ、じゃあアルミホイルに包んで蒸し焼きにでもしよっか」
横に並んで、大量に購入してきた食材をさばいている。4人でこれだけのものを食べきれる自信は全くない。
ただ、永遠の育ちざかりこと総司が自信満々に買い物かごに放りこんだ品々だから、誰も文句を言わなかった。
総司なら、全てをぺろりと食べてしまいそうだ。意外に大食いだから。
「梢ちゃん、ずぅっとにこにこしてる~」
「あれ? 顔に出てた?」
「うん、何考えてたの~」
「ふふ、そうちゃん、可愛いなあって思って」
何年たっても、総司は私の中で弟のような双子のような、アイドルのような場に立っている。
アンバランスな逞しさといじらしさがあって、目が離せないままになっている。総司の魅力はそういうところにあるから、朋美が惹かれたのも、頷ける。
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