花火のような恋が砕ける

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「えー? ソージは、まあね」 「うん、朋ちゃんも、そうちゃんの横にいるとき、いっつも楽しそうだもん。しあわせそうだなあ~って、ぽかぽかする」 朋美を心底恨めるような私だったら、ここにはいなかった。もっと別のどこかで、一人で夏を暮らしていただろう。でも、私はそうならなかった。 大学でできた親友だった。 総司とも亜貴とも被らない授業で出会って、はじめて意気投合という言葉の意味が分かった。笑ってしまうくらい、好きになった。 朋美が男だったら、私はもっと穏やかに朋美と恋に落ちていたかもしれないと思う。それくらいに大切な友達になった。 「え~? それは梢ちゃんが一緒に居てくれるからじゃん」 「ええ? そうなの? じゃあ、そうちゃんじゃなくて、私のほうが朋ちゃんを笑顔にできてる?」 「はは、何それ、かわいい~。そんなの当然すぎる。マジでソージどうでもいいよ。梢ちゃんが一番なので」 感激したみたいに朋美が抱き着いてくる。その温かさに触れて、泣きたくなってしまった。 ずっと仲良しでいたい。 ずっと近くに居たい。二人でルームシェアをしたいと真剣に話し合ったこともある。優しくて、強くて、たくましい女の子だ。
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