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リビングに彼女を呼んできて、コーヒーをすする。あぁ、なんて幸せな朝だろう。
「レイラ、君を心から愛しているよ」
愛おしさが胸の奥から溢れるように、そんな言葉が口をついた。
恥ずかしそうに黙り込んでしまうレイラ。
元々シャイな性格で、自分から言葉を発することは少なかったけれど、結婚して一緒に暮らすようになってから、更に話すことが減ったように思う。
でもそんなことはどうだっていい。言葉なんてなくても、僕らは心が通じあっているのだから。
「君は本当に可愛いね」
そう言って彼女の手を握ると、やはりひんやりと冷たかった。そんな所まで愛おしくて、思わず笑みが零れてしまう。
僕は自分の温もりを分け与えるかのように、その手をゆっくりとさすっていた。
その時、突然玄関の戸を叩く音がした。
仕方なく冷たい小さな手を離して、玄関の戸を開ける。そこには2人の警察官が立っていた。
僕らの平穏な暮らしに、物々しい雰囲気をまとった警察など相応しくない。早く帰って欲しいものだ。
「なんでしょう?」
僕がそういうと彼らは警察手帳を掲げながら言った。
「セシル・ネイハムさんですね? 半年前に亡くなったレイラ・ウェンディさんについてお話を伺いたいのですが……」
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