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なんだって? どういうことだ? レイラが半年前に亡くなった……?
警察の言っていることが、全くもって分からない。
「何を言っているのです? レイラは、僕の妻は生きていますよ。僕らはこの家で幸せに暮らしているのです。今だって一緒に……」
僕がそう言い終わる前に、2人の警官は「失礼しますよ」とズカズカ僕らの家に入り込んでくる。
僕らの幸せが、平穏が、穢されていく……。
「あったぞ」
「本当にこれと半年間も暮らしていたのか……」
……やめろ。レイラを、彼女を、モノみたいな言い方するな。
けれど走馬灯のように脳裏に浮かぶのは、病院のベッドで苦しそうに呻くレイラ。花に包まれ棺の中に眠っているレイラ。涙を流す彼女の両親……。
どこからパトカーのサイレンが近づいてくる。
僕は、捕まるのか……?
きっとそうだ。本当は最初から気づいていた。
レイラは、彼女はもう……死んでしまった。それを受け入れられなかった僕は、葬儀の夜、2人で街から逃げ出そうと約束していた夜、彼女の亡骸を盗み出した。そしてこの家に彼女を隠し、皮膚が、臓器が腐敗するたびに、ガーゼや絹の布を充てて取り繕った。
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