「無音のアッシュ」

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 >この語圏ではHをアッシュというが、発音しない。無音のアッシュは、存在するのに存在されない。発音しないことが綺麗だとされる。  わたくしめは、学生時代に第二外国語でフランス語を選択しておりまして、そのときの先生が、アルファベットのHを「無音のアッシュ」と言っていました。  それが印象に残っており、今回小説に取り入れてみました。……だから何だという話ですが。  「彼」は、戸籍上の名前もクリスチャンネームもHから始まっており、フランス語圏では発音されない。存在するのに無いことにされている。綺麗に消されて、でも自分だけがもやもやを抱えている。抱えたまま、引きずったまま、生きるしかない。そんな感じ。  部屋に散乱するある小道具が、彼の気持ちを代弁できたらな……できてるのかな。  自分でもうまく表現できませんが、漠然とそんなことを思っていました。  以上、ネタバレでした。ここまでお付き合い下さり、ありがとうございました。  次回は、下らない話か、「俺はボディガード」の後書きだと思います。  こんな感じで、気まぐれに書いてゆきます。
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