「俺はボディガード」

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 わたくしは介護施設に勤務しておりまして、夜勤もたびたび致します。  利用者様の居室を開けさせて頂いて巡視するのですが、誰もいない居室の引き戸が微妙に開いていることが頻繁にあり、複数の職員で首を傾げておりました。  職員のひとりが言います。 「もしかして、あれじゃない?」  あれ、が示すものは明言されませんが、暗黙の了解として、皆わかってしまいました。  それからは職員間で、居室の引き戸が微妙に開いていると「あれ」の仕業だということになりました。  ある日の夜、夜勤中に巡視をしていると、誤って居室の引き戸を勢いよく閉めてしまいました。  すると、振動で隣の居室の戸もあいてしまいました。  隣は、例の微妙に開いてしまう居室だったのです。  そのとき、ようやく知りました。引き戸が微妙に開いてしまうのは「あれ」のせいではなくて物理現象だったのだ、と。  以上、実話でした。  今となっては笑い話ですが、原因がわからないうちは、本当に怖かったのですよ。  ホラー作品の怖さも似ていると思います。  物理現象なのか超常現象なのかわからないうちが怖い。それに輪をかけて、ホラーという雰囲気が作品を怖くさせる。  そんな感じを、「俺はボディガード」で書きたかったのです。  余談ですが、私はホラー作品が苦手です。  ずいぶん昔ですが、「ほんとにあった怖い話」を視聴していたら、突然テレビの電源が消えました。
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