9.利害が一致するとかしないとか

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 それが分かるから、余計にお役に立てなかったことを申し訳なく思って。 「――っ! すっ、すみませんっ。私が不甲斐ないばっかりにっ」  思わず現状も忘れて宗親(むねちか)さんをじっと見上げて勢い込んでそう言ったら、クスッと笑われた。 「あの時キミは殆んど話していなかったでしょう? 別に誰を連れて行ってもあの人はあの反応だったと思いますよ?」  そこでフッと笑うと、 「基本的にうちの両親は僕のやることを信用していないんです。何だかんだと理由をつけて、自分たちの言いなりに出来たらいいと願っている人たちですからね」  私に半ば馬乗りのままそっと頬を撫でると、 「貴女のご両親と少し似ていますよね? ――そこで似た者同士な親を持つ者としての提案です」  とにっこり笑う。  ああ、この笑顔、私知ってます。  今朝、カフェで「おはよう」と声を掛けられた時の笑顔です。  この人が、を考えているときの表情(かお)なのです!
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