9.利害が一致するとかしないとか

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「親たちが、ちょっとやそっとじゃ手出し出来ない関係で、改めて僕と契約し直しませんか?」  グッと両肩をソファーに押し付けるような形で縫い止められて、何をする気なの!?とドキドキしてしまう。 「そっ、それはどういうっ……」  意味……です、か?  そう続けたいのに、この状況が私の頭をマトモに稼働させてくれないのっ。 「あ、あの……」  この体勢に、極上の腹黒スマイル。  私の大好きな、好みすぎるお顔を間近に仰ぎ見る形で組み敷かれて、世紀末並みに嫌な予感しかしないのです! 「僕は契約の代価として、貴女に安全で快適な住処(すみか)を提供します。いわゆるギブアンドテイク。利害の一致による共生というやつです」  そんな、ひとりで訳知り顔に畳み掛けられても、私、さっぱり理解出来ていないんですけど。 「い、意味……分かん、ない、です……」  不安一杯の表情で宗親(むねちか)さんを見上げて恐る恐るつぶやいたら、にっこり笑って言われました。 「柴田(しばた)春凪(はな)さん。僕と〝政略結婚〟しちゃいましょう」  こ、これはっ。私が幼い頃から夢見続けた、イケメン王子様からのプロポーズというやつでしょうか?  でも……でも……っ!  王子様が私の足元に(ひざまず)いて、なんて構図には到底見えませんし、何なら私、その王子様に逃げられないように押さえつけられています!  どう考えても、何かがいるのです!
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