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「もっ、問題しかありませんからっ!」
いくらお酒を飲んでぼんやりした頭でも、このまま「はい分かりました」ってサインをすると思ったら大間違いです!
っていうか、今ので一気に酔いが覚めました!
「何が問題なんですか?」
私のすぐ横に腰掛けた宗親さんが、ペンを持ったままの私の手をギュッと両手で包み込んできて。
その、繊細そうに見えて……その実、私の手なんかより圧倒的に大きくて、尚且つ思いのほか骨張ってゴツゴツした手のひらの感触に、ドキッとしてしまう。
――いや、待って春凪、そうじゃないっ。
「もっ、問題がないと思っていらっしゃる方がおかしいと思いますっ」
手を取り戻そうと必死に引いてみるけれど、びくともしなくて焦りが募った。
そんなに強く掴まれているようには見えないのに何なの!
「あ、あのっ……」
――何で離してくれないんですかっ?
そんな気持ちを込めてじっと見つめたら、「さっき、利害関係が一致することは確認しましたよね?」
その上で、春凪は宗親さんの提案を受け入れるのが得策だという結論に達したでしょう?というのが彼の言い分らしい。
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