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いや、確かにそうなんですけど……。でも!
「仮にも〝結婚〟ですよ? 戸籍に傷がついてしまうとか思わないんですか?」
本当に好きな女性が出来た時、バツイチになってしまうことに、この人は何の躊躇いもないんだろうか。
私は……あるのに。
「バツイチになるのとか嫌です!」
勢いこんで言ったら、何でもないことみたいに「離婚しなけりゃならないでしょう?」って返されて。
「偽装……なのに?」
思わず窺うような表情になってしまって、不覚にも好みのどストライクなお顔をばっちり見てしまった私は、固まったみたいに動けなくなった。
「偽装だからこそ、です」
言われている言葉の意味がさっぱり分からなくて、キョトンとしてしまう。
あまりに意味不明な展開に、握られた手を振り解くこともできないまま、私は宗親さんの次の言葉をじっと待った。
もちろんほだされそうだから顔は見ない。
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