2302人が本棚に入れています
本棚に追加
/720ページ
いやん!
宗親さんのその笑顔を見て、いい結果になったことなんてただの1度だってない気がするのですっ!
「書いたからと言って、すぐには提出したりはしませんから、そこは安心してください。ほら。まずはお互いの親に婚約報告――まぁ僕たちの場合はいわゆる宣戦布告ですね。それをせねばなりませんから」
「せ、宣戦布告……?」
およそ婚約という甘い言葉に相応しくない喧嘩腰な文言に、思わず宗親さんの言葉を繰り返したらクスッと笑われて。
「ほら、僕も春凪も親の言いなりにならないためにタッグを組むわけでしょう? 春凪の方は僕と結婚したいって話したとして、親御さん、すぐに許してくれると思いますか?」
聞かれて、私はふるふると首を振った。
うちの両親は――特に父は――私の結婚相手は地元から、と強く思い描いている気がする。
実家まで新幹線を使ってでさえ3時間近くかかるこの辺りで伴侶を見付けただなんて言ったら、絶対一悶着あるに決まっている。
康平と別れずに済んでいたとしても、きっとその壁はかなりの時間をかけて乗り越えないといけないものだったはずだから。
最初のコメントを投稿しよう!