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今日の感じからすると、葉月さんは表向きはニコニコとしていらっしゃったけれど――宗親さんのお話と照合してみても――、本音の部分では私以外の女性を御子息と添わせたいと思っていらっしゃるはずだ。
「仮にうちの方の両親は懐柔できるとして、そちらのご両親は無理な気がします」
別に自分のことを卑下しているとかそういうのではない。
単純に、この息を呑むほどに美形でハンサムな男性と、私みたいなそこら辺のイモ娘が釣り合うとは思えないだけ。
それによく分からないけれど、宗親さんのお母様――葉月さん――の雰囲気から、織田家と、柴田家ではお家の格が違うような気がするし。
「それは心配いりませんよ。僕が春凪以外の女性とは添いたくないとゴネますので」
宗親さんは何でもないことみたいに不敵な笑みを浮かべてそう言うと、
「うちの両親、特に母なんかは厳しいようでいて、その実、根っこの部分では僕に相当甘いんです。それを存分に利用させて貰います」
腹黒スマイルがこれほど板についた振る舞いができる人も珍しいのではないかと思ってしまった。
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