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その腹黒宗親さんが、「ところで今夜はどうしますか?」と再度聞いていらした。
泊まりで決定みたいな言い方をしていたはずなのに、もしかして他の選択肢もありですか?
そう思った私は、
「い、家に帰りたい……ですっ」
無駄かも、と思いながらも一か八かで言ってみたところで、折り悪しく宗親さんのスマホが鳴って。
宗親さんは画面を確認するなりニヤリとした。
「春凪、もう一仕事してもらったらタクシーで家まで送ります。貴女の車も僕が責任を持ってアパートまで届けましょう。――頑張れますか?」
聞かれて、私はわけが分からなくてキョトンとして。
「どう、いう……意味ですか?」
恐る恐る聞いたら、
「実はね、ここに向かう前、母から後でマンションに寄るとメッセージが入っていたんです」
そこで手にしたスマホを私に意識させるようにこねくり回して。
「母は僕と春凪の関係を疑ってるみたいだってお話ししましたよね?」
ずいっと私の方に身を乗り出すと、顔をじっと見つめてくる。
ち、近いです、宗親さんっ。
急に削られた距離にドギマギしながら思わず身を引こうとした私に、まるで追い討ちをかけるみたいに、
「――で、あんなことがあった後、僕が面倒がらずにキミと一緒にいるか確認したいんだと思いますよ?」
こともなげにサラリと言ってから、「だったら仲がいいところを見せつけてやろうじゃありませんか」と不敵に微笑むの。
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