2303人が本棚に入れています
本棚に追加
/720ページ
そういえばお店の駐車場で、宗親さんがスマホを見て眉間に皺を寄せていらしたのを思い出す。
息子である宗親さんの性格を熟知しておられる葉月さんは、宗親さんが利害関係だけで繋がっている相手に対して、かなりドライだと言うのをご存知らしい。
だからこそ、宗親さんはそれを逆手に取るためにも、私を簡単に帰すわけにはいかなかったんだ。
今更のようにそう思い至った私は、だからって、とムスッとしてしまう。
簡単には帰らせないためみたいにお酒を盛られたのは、何だか信頼されてないみたいで心外だった。
言ってくだされば、素面でだって、ちゃんとお役目は果たしたのに。
それで、非難がましい気持ちを込めて、
「あ、あのっ、私、お酒……っ」
そこまで言ったところで宗親さんと視線が合ってしまって、「貴方に飲まされてますよ!?」という、1番訴えたかったところが尻すぼまりになってしまった。
〝昼間っからお酒を飲むような女の子を、気に入る親御さんがいらっしゃるとは思えないのですが?〟
ってところに繋げたかったのに……私のバカっ。
最初のコメントを投稿しよう!