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ソファ前のローテーブルにそのままになっているグラスなどを見ながら話術を失敗したことを悔やんでソワソワする私に、「春凪、キミは今、酔っ払ってますか?」と問いかけてくる宗親さんは至極落ち着いていらして。
それも何となく悔しい。
「いえ……」
一時的にはふわふわしていたけれど、今は割と何ともない……と思う。
「でしたら問題ありません。――計画通りです」
宗親さんの言葉の真意を測りかねて「え?」とつぶやいたら、「車で来た貴女と一緒に僕も酒を飲んでいるっていうのが大事なんです」と、ニヤリと笑うの。
「僕が送っていけない。貴女も自力では帰れない。そういう状況の恋人同士が、どちらかの家にいる。しかも明日は休日です。――普通ならどうなりますか?」
言われて、下で宗親さんがコンシェルジュの女性に私の車の駐車時間を泊まりのように告げたことを思い出した私は、息を飲んだ。
「もしかして……駐車時間を長く指定したのも、お母様の訪問への対策だったのですか?」
恐る恐る問いかけたら、何でもないことみたいに「その通りです」って認められた。
この人、本当計算高くて怖いですっ!
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