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「ねぇ宗親さん。春凪さん、大丈夫なの?」
ベッドに横たわって狸寝入りをしている私を寝室入り口からそっと覗き見て、葉月さんが心配そうに宗親さんに問い質している。
扉が開けられた際、リビングからの光が遮光カーテンを引かれた薄暗い部屋に一条差し込んできたのが分かって、私は布団の中でひとり、緊張のあまり手に汗をかいた。
入り口は足元側で、近付いて来られない限り布団に隠れた顔は見られないと思う。
それでも空寝がバレませんようにと願いながら、湿った拳をギュッと握りしめる。
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