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付け足すように自分も飲酒をしているのだとさらりと含ませてから、「週末ですし、元々彼女にはいつも通り泊まってもらう予定でしたので問題ないですしね」とか。
何ですかっ。その、〝めちゃくちゃ関係が進んでいる2人〟みたいな設定の言い回し!
私、ここにお邪魔したのなんて今日が初めてですし、当然この後もお泊まりなんてする気は微塵もありませんからっ!
布団の中で唇をギュッと噛み締めて、言いたいあれこれを必死に堪える。
「でもそのお陰で、春凪、泣くほど悩んでいた問題、ちゃんと洗いざらい僕に話してくれました。――住むところがなくなることを気にしているようでしたので、だったらすぐにでも一緒に住みましょうって提案したところです」
にこやかに続けられた、宗親さんの、いつもとはどこか違う、後ろ暗くて爽やかな低音ボイスを聴いていた私は、その衝撃の内容に思わず瞳を見開いた。
「――っ!」
ちょっ、ちょっと待って! 宗親さん、いま何て仰いました!?
漏れそうになった声を、必死に布団で押さえ込んだけれど、受けた衝撃はそのぐらいじゃ一向に和らがないの。
偽装結婚は確かに持ちかけられました。
婚姻届も見せられ(書かされ)ました。
一緒に住むような話も出ました。
でも……私のアパート問題に託けたような、性急で具体的な同居云々は、まだお話を煮詰めていなかったはずなのですがっ!?
何故現時点でお母様に話したりなさるのですかぁーっ!
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