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「それにしても大匙にたった一杯で眠ってしまわれるとか……春凪さんは本当にお酒に弱くていらっしゃるのね」
遮光カーテンを引かれた薄暗い寝室に、再度リビングからの光が差し込んでくる。
どうやらまたしても寝室との境にある扉を薄く開けられているらしい。
「いつもならこんな事ないんですけど……泣きじゃくった後だったからじゃないでしょうか」
宗親さんのその声と同時に、差し込んでいた光が閉ざされて。
一緒に飲んだことなんて――あのバーでの偶然の出会いを入れたとしても――今回のでたった2回目なのに。
いけしゃあしゃあと〝いつも〟なんて言葉を使う宗親さんに、布団の中でひとり嘆息する。
何ていうか本当この人ってば嘘つくの、手慣れてるなぁ。
私も彼の言葉は話半分ぐらいに聞いて、騙されないようにしよう。
そもそも私たち、いつ〝情を交わした〟の!?って思いましたし!
情けないですけど私、超絶かっこいい宗親さんとのラブシーンなんて想像つかないんです……。
だってあの人が、ですよ? 私みたいな小娘をそう言う目で見るとか考えられないじゃないですかっ。
それに……もっと言うと女性と睦み合ってる姿とか……いわゆるそう言う人間臭いところ自体、ちっとも想像できなくて。
逆に傍観者として興味津々なくらいです!とか言ったら怒られますかね?
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