10.アレもコレも布石

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「私、偽装夫と枕をともにする気は……」  ――ありません!  身を乗り出してそう言おうとしたら、「僕はその貴女との同居を提案しましたよ?」と先手を打たれてしまった。  そもそも考えてみたら住処(すみか)を追われるのは私。  宗親(むねちか)さんには〝偽装妻〟を手に入れるというメリット以外、ほぼほぼデメリットでしかない気がする。  そんな私が宗親(むねちか)さんの覚悟を踏みにじるのは許されない……?  それに、これだけ大きなベッドならば、端っこの方に思いっきり寄れば、きっと身体が触れてしまうこともないはず。  そんな打算的なことを考えていたら、 「今のでお分かり頂けたと思いますが、うちの母、結構不意打ちで遊びに来るんですよ。だから――」  一緒に住んでいながら、寝室が別々というのは正直望ましくないのだと言外に含まされる。  私はソワソワとベッドサイドに立つ宗親(むねちか)さんを見上げながら問いかけた。 「む、宗親(むねちか)さんは……私がいても……その……ね、眠れちゃい……ます、か?」
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