2303人が本棚に入れています
本棚に追加
/720ページ
「あの、さっきお聞きした似てるかどうかって言うのは、私とではなく……」
仕切り直すように言ったら「ああ、僕と……」とつぶやいて、そこで初めて得心がいったみたいに、
「春凪の言う似てる、とは外見のことですか？ それとも内面のことですか？」
またしても予期せぬ言葉とともにクスッと笑われた私は、「え？」と宗親さんを見た。
途端極上の笑顔を目の当たりにしてしまって、慌てて視線を逸らせる。
外見以外思いもしなかったけれど、わざわざこんな聞き方をなさるということは――。
「妹さんも、はら……」
腹黒なんですか？と聞きそうになって、寸前で「さ、策士でいらっしゃるんですか？」と言葉を差し替えた。
「そうですね。あいつも結構な腹黒です」
にっこり微笑まれて、私は心の中を見透かされたみたいに感じて「ひぇっ！」って声にならない悲鳴をあげる。
そうして同時に、ご自分でも腹黒い自覚がおありになったんだ！とびっくりした。
最初のコメントを投稿しよう！