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「ななななっ、何するんですかっ」
唇を軽く拭いながら睨みつけたら、「その反応、結構傷付くんですけど」と苦笑されて。
「わっ、私っ、恋人以外とはこんなことしない主義なんです!」
傷付くも何も、いきなり唇を奪われた私の身にもなってください。
涙目で宗親さんを睨んだら、「でしたら何の問題もないんじゃないですか?」とか。
えっと……この人、もしかして宇宙人か何かですか?
言葉が通じなさすぎて口をパクパクさせる私に、「だって僕と春凪は婚約者でしょう?」って……。〝役〟を付け忘れたさっきと言い、今と言い、「〝偽装の〟が抜けてます!」と言いたくなったのも仕方ないよね?
「世の中にはね、嘘から出た実という言葉もあるんですよ、春凪」
意味深に言われて、「どういう……」って言い募ろうとしたら、「さて、じゃあコンビニに行きましょうか」と話をすげ替えられた。
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