11.だったら試してみればいい

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「私で……宗親(むねちか)さんの妻がちゃんと務まりますかね?」  不安になって眉根を寄せたら、「春凪(はな)以外には無理だと思います」と自信満々に返された。 「何でそんな風に言い切れるんですか?」  余りにも当然と言った様相で返された私は、逆に唇がとんがってしまう。  葉月さんにだって認められていないのに、そんな簡単に太鼓判を押さないで欲しい。 「先程も言ったでしょう? 春凪(はな)以外にこの役を任せたくないからです」  宗親(むねちか)さんは私の何をそんなに気に入ってくださったんだろう。  まさか容姿が、ということはないと思うので……恐らくは中身――(ぎょ)しやすいところなんか――を見染められたのかな? 「私のこと、従順で飼い慣らしやすい人間だと思っていらっしゃるんだとしたら、大間違いですよ? 私、割と言いたいことはハッキリ言っちゃうタイプです」  ――それ、分かっておられます?  そう思って拗ね顔のまま宗親(むねちか)さんを睨みつけたら、クスッと笑われて。「僕は(むし)春凪(はな)のそういうところが気に入っていますと再三お話したつもりだったんですが……」とウインクされた。
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