12.条件、ご存知ですよね?

2/18

2302人が本棚に入れています
本棚に追加
/720ページ
春凪(はな)、さっきまでここでスヤスヤ眠れていたでしょう? 遠慮はいりませんよ? さぁどうぞ」  グッと身体を押されて例のキングサイズのベッドに半ば無理矢理座らされた私は、泣きそうになりながら宗親(むねちか)さんを見上げた。  ――い、一緒のベッドで眠るだなんて聞いてないっ。  そんな思いを瞳に込めたのに。 「もしかして誘ってますか?」  スッと目を(すが)められて、いきなり顔を近付けられたから、 「ち、違っ」  言いながら慌ててのけぞった。  と、トンッ……とその動きに加勢するように肩を押されて、気が付いたら柔らかなベッドの上に仰向けで。  さっきうたた寝をしてぼんやり見上げたのと同じ天井が、宗親(むねちか)さんの超絶美形なお顔越しに見える。 「あ……っ、え?」  一瞬、自分がどういう状態なのか理解出来なくて間の抜けた声を出した私に、宗親(むねちか)さんが覆い被さってきて。 「どうやら僕は彼シャツの破壊力というものを(あなど)っていたようです」  すぐ耳元で、艶っぽくそう(ささや)くの。
/720ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2302人が本棚に入れています
本棚に追加