2302人が本棚に入れています
本棚に追加
/720ページ
***
「――宗親さん、私の……えっと、そ、そのことに関する条件、ご存知です、よ、ね? それでも宜しければ……ど、どうぞ……?」
(濡れなくて多分出来ないですけどっ)
しどろもどろ、心の中でそんな付け加えを交えつつモジモジしながらそう言ったら、宗親さんが一瞬瞳を見開いてからクスッと笑った。
「確認なさりたいのは性交渉の際、下しか脱がないってやつのことですか? もちろん、存じ上げておりますよ、柴田春凪さん」
やばい。
改めて言葉にされるとめちゃくちゃ恥ずかしい。
しかもわざわざフルネームを呼んで確認してくるのとか、絶対わざとですよね!?
想像しなくてもいいのに変な絵面まで浮かんで、私はにわかに赤面する。
「そっ、そう言えばっ、きょ、今日は……い、一緒に眠っても平気かどうかを見極めるためだけの一夜ではなかったですかっ」
いずれ手ごめにされるのだからそれが今日でも仕方ないかと、覚悟出来たと思ったのは勘違いでした!
「か、かように眉目秀麗な殿方とわたくしのようなそこいらの町娘が肌を合わせるなどと言った不埒で淫らな所業、お、畏れ多くて滅相もござりませぬっ!」
緊張の余り心の声が時代劇調でダダ漏れしていることにも気付けないぐらい、私はパニックに陥っています!
最初のコメントを投稿しよう!