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「まぁまぁ、春凪。落ち着いて?」
さすがの宗親さんも堪えきれなかったみたいにクスクス笑いながら、「どうどう」なんて、まるで牛馬をなだめるような口調で私を落ち着かせようとするの、めちゃくちゃ失礼じゃありません?
「私、すっごく冷静ですっ」
実際は物凄くオロオロしてるけれど、認めるのが悔しいって思ってしまった。
私はこんなに緊張しているのに、宗親さんは全然そんな風に見えないんですもの。
ずるいよ!
よしよし、と私の頭を撫でてくる仕草なんて、会社で見る鬼上司とは思えないぐらい穏やかで優しくて……、それが余計に私の自尊心を逆撫でしてざわつかせる。
「さっきので通じていなかったみたいなので改めて言わせていただきますね、春凪。――僕とキミが一緒に眠っても平気かどうかを見極める云々でしたか。それについては率直に申し上げて無理だと言う結論に達しました。僕は今、春凪の彼シャツ姿に物凄く興奮していますので」
言われて頭を撫でていた手を後頭部に移動させるや否や、髪の毛をギュッと鷲掴みにされて顔を上向かせられる。
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