13.最低男と一緒にしないで?*

8/25

2302人が本棚に入れています
本棚に追加
/720ページ
「……わ、私っ。不、感症……なんですっ。……お、男の人に面白みがない女だって……ガッカリされるのはっ、もう、イヤなん、です……」  腕を頭上で束ねられていて、宗親(むねちか)さんが胸部に触れる手を止めることのできない私は、涙目で彼を見上げて訴えた。  こんなところまで来て、今更これ。  胸の見た目が悪いだけじゃなく、感度まで最悪だと……。  宗親(むねちか)さんみたいに死ぬほど好みのでカッコイイ、素敵な男性に自分から告白するのは、泣いちゃうくらいに情けなくて……震えるくらいに恥ずかしかった。  きっと、こんな私、凄く凄く興醒(きょうざ)めだし、宗親(むねちか)さんにも呆れられてしまうに違いない。  そう思ったけれど、宗親(むねちか)さんは私の予想に反して、頭上に縫いとめていた手を解放して下さると、優しく私の頬に触れてきた。 「春凪(はな)。どうしてそんな悲しいことを言って、自分を(おとし)めるんですか?」  そうして私の目尻ににじんだ涙を人差し指でそっとすくうと、 「僕を……、キミの最低な元カレと一緒にしないで?」  いつもより少し砕けた口調で優しくそう告げられて、(いたわ)るようにそっと唇をふさがれる。
/720ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2302人が本棚に入れています
本棚に追加