13.最低男と一緒にしないで?*

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「ごめんね、キミを汚してしまいましたね。――熱かったですか?」  言われて、混乱した頭のままコクコクとうなずいたら、「素直な子は大好きです」って頬に口付けを落とされる。 「宗親(むねちか)……さん、わた、し……すごく()……」  お腹から胸、鎖骨のあたりまでを濡らす宗親(むねちか)さんの体液をぼんやりと見下ろして……。  まるで、宗親(むねちか)さんに「春凪(はな)は自分のものだ」ってマーキングされたみたいに思えたことを、心の底から「嬉しい」と心動かされてしまった。  思わず思ったままにそう告げそうになって、慌てて口をつぐむ。  ダメだ。偽装の夫婦になろうかという相手に対して、こんな気持ち――。  バレたら絶対面倒に思われてしまう。  そう思った私は、 「う、う、う……海! 海に行きたいですっ!」  誤魔化すみたいに「う」で始まる言葉を適当に言って、宗親(むねちか)さんをキョトンとさせてしまう。  そりゃそうだよね。  私も「支離滅裂すぎるでしょ!」って思いながら言ったもん。 「春凪(はな)は本当、何を考えているか予測不能ですね。こう言うと変に思われるかもしれませんが、僕は案外キミのそう言うところが楽しくてみたいです」  クスッと笑われて、私は胸の奥にチクリとした痛みを感じながらも、「私のこと、変な子みたいに言わないでください」って眉根を寄せた。  「嫌いじゃない」はきっと、「好きでもない」と同義なんですよね、宗親(むねちか)さん。  そんな風に思いながら。
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