14.接点なんていくらでも作れるはずなんだ

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 年下の女の子の――それも服に包まれた双丘(そうきゅう)を見たぐらいでその下を想像して触れたくてたまらなくなるとか。  まるで10代やそこいらの未経験者のようだ。  それが自分でも訳が分からなくて戸惑ってしまった。  そもそも彼氏持ちの、年の離れた女の子に懸想(けそう)するなんて合理的じゃないし、普通に考えて負け(いくさ)の可能性が高い。  僕は幼い頃から感情を押し殺すことを美徳とされて育てられてきたのだ。  ――馬鹿なことはやめておいた方がいい。  傷付いたってポーカーフェイスを崩さないで日常生活を営める自信はあったけれど、それとダメージを受けないかどうかはまた別の話。  わざわざ自らを追い込む必要はないはずだ。  そう自分に言い聞かせて極力あの子のことは見ないようにしたんだけれど。  残念ながら感情というやつは、封じようとすればするほど反発して膨らんでしまうものらしい。  彼氏がいるくせに、(くだん)の子が、このバーに一緒に来る割合が高いのが、圧倒的に同性(ゆうじん)というのも、もしや彼氏(おとこ)とうまくいっていないのか?と思わせて僕の心を揺さぶった。  そんなことを思う内、いつしかどうにかして彼女を恋人から奪えないものかと考えるようになっていて――。
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