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カラン……と、氷がグラスに落とされる乾いた音と、トクトクトク……という琥珀色のトロリとした液体が注がれる音。
その液体を浴びた途端、グラスの中の氷が微かに軋むような音を立てた。
僕と明智のふたりしかいないからだろう。
店内はしんと静まり返っていて、日頃聞こえないような微かな音までみんな拾ってしまうんだ。
まぁ、店をやってない日に無理矢理連絡して開けさせて……こんな風に図々しくも飲ませてもらってる身だ。ウィスキーを1杯奢るのなんてお安い御用だ。
「別に全部僕の奢りで構わないから、遠慮せず何杯でも飲めばいいですよ」
言いながら、
「まぁ、迷惑料とか店に来てくれなくなるかも知れないとか……。全くの杞憂だと思いますけどね。僕の勘ですけど、ああいうタイプの子は、あまり冒険をしないものです。だから滅多なことじゃ、行きつけの店、変えたりしないと思います」
うだうだ言う明智に、不安要素なんてひとつもないでしょう?と僕は反論を試みた。
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