14.接点なんていくらでも作れるはずなんだ

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 それに、きっと彼女はここからそう遠くない範囲に住んでいる。  タクシーなんかを拾って来店するのを見掛けたことがないし、当たり前だけど飲酒運転をするような子にも思えない。  徒歩圏内に住んでいる気安さから、ここの常連になっていると考えるのが妥当な筋だろう。  実際、この辺りは近くに大きな大学があって、そこの学生があちこちに住んでいるような地域だ。  僕が目を付けた子も、どうやらそこの学生みたいだし。  何かをきっかけにあの子の家でも分かれば、偶然を装って「こんにちは」なんて言うのも出来るんだが。  そんなことを思いながら、まぁそう都合よく物事が運ぶこともないか、と思い直して。  とりあえず『Misoka(ミソカ)』での接点を保ち続けられるようにしておくのが大事だ。  そう思った僕は、学生の身分の彼女がここへ足繁く通い続けることが出来るよう、を明智に頼んで随分前に手配済みだ。  学生というのは〝学割〟と言えば、ある程度裏から金額に関して都合よくアレコレ手を回しても不自然にならないのとか、本当に有り難い。
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