14.接点なんていくらでも作れるはずなんだ

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「問題はどう声を掛けるか、なんですが」  あの子のことはこの店で幾度となく見掛けているけれど、ひとりで来ているのは見たことがない。  明智(あけち)が言う彼氏連れの時もさることながら、それ以外でもショートカットのお姉さん気質な友人と飲んでいる風で。  どこかでひとりになってくれたら話しかけやすいけれど、さすがに連れがいるとなるとタイミングが計りづらい。  こちらも2人連れとかならともかく……1対2では()が悪いんですよね。  いざとなったら明智(あけち)を巻き込むのもありだろうか。  一瞬そんなことを思ってしまってから、でも場所を提供してもらう手前、出来れば男らしく独力で何とかしたいところだな、と思い直す。  そう思っていた矢先だった。  勤め先の建設会社の就職試験を彼女が受け、最終候補者の中の1人として残っていると知ったのは。
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