16.例えキミがどんなにダメだと言っても

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 慣れない社会人生活の初日から、ブラック企業ばりにそんなことをされてしまった春凪(はな)は、家に帰ったら冗談抜きで倒れ込むような生活を余儀なくされたはずだ。  そんな生活の中で、携帯への着信の折り返しが(おろそ)かになってしまったというのは、ある意味仕方がなかったのかも知れない。  とはいえ普通に考えて、春凪(はな)が僕の手元に来る前――入社前――からそれらの打診はあったはずで。  それに掛け直すのを怠っていたのは、純粋にあの子自身の問題だとも思うから。  だから春凪(はな)が僕のマンション(ところ)に来るのを渋る素振りを見せた時、僕は思わず彼女に理路整然と理詰めでものを言ってしまったんだ。  我ながら、強引に進められる同居話に戸惑っている女の子を捕まえて、 「最初から受けた着信への折り返しを(おろそ)かにしなければ良かっただけのことです」  はなかったな、と思う。  なまじ真実だから、春凪(はな)も言い返せなかったんだろう。  けど……事実だからって「もう少し優しくですよね」と考えると、僕はあのあと結構反省したんだ。
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