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春凪が油断した時に時折もらす、僕の顔が好みだという発言も、いつか彼女が心身ともに僕のものになってくれるかも?と期待させられて結構嬉しかったし。
とりあえず見た目が合格ラインなら、全く脈なしではないですよね?とも思えて。寧ろどんどん攻めた方が効果的かな?とかいつになく計算高く考えたりもしたんだ。
それなのに……。
よくよく聞いてみると春凪は僕の見た目は好きだけど、中身は苦手みたいで。
そこを少しずつほぐしていくのが、春凪攻略への近道だと理解はしたものの、このままの僕を愛せるようになってもらわないと意味がないじゃないか……とも懊悩して。
変に飾らず接し続けて、春凪がそんな素の僕のことを好きだと思ってくれるようになったなら……きっとすっごく幸せですよね?
無防備にも僕の前、慣れないワインで可愛らしく酔っ払った春凪が、僕に抱きついて離してくれなくなったのを心裏腹な迷惑顔で見下ろしながら……。
存外攻略に手間取りそうなこの子のことを、一刻も早く身も心も僕のものにしたいと痛切に願ってしまったのは、もちろん彼女にはバレてはいけない。
――僕だけの内緒事だ。
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