17.わけも分からないままトントン拍子?

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 お父さんだって同じ。 『おじいちゃんとお父さんで、春凪(はな)には素敵なお婿(むこ)さんを見つけてやるからな』  要するにおじいちゃんとお父さんは、女の子は20歳(はたち)を過ぎるか大学を卒業するかしたら仕事なんてせず、堅実な男性と所帯を持つのが何よりの幸せ、と言う考え方の人たちなのだ。  それも、相当の良縁でもない限り、自分たちの息がかかった地元の男性が望ましいという感じ。  おじいちゃんやお父さんの目論見(もくろみ)が見えれば見えるほど、私はこの家から出たくて出たくてたまらなくなったの。  おばあちゃんやお母さんみたいに、男の人の言いなりになって、依存して生きていくなんて絶対に嫌っ。  そう思って大学進学を機に、忌々しいこの家を飛び出した。 (だけど……今の私、宗親(むねちか)さんに捨てられるんじゃないかとビクビクして……結局はおばあちゃんやお母さんと一緒じゃない!)  ふとそんなことを思って……。  結局は私も〝柴田家(しばたけ)の女〟なのだと痛感させられて、自分の不甲斐なさにうつむいた。 (私なんかが宗親さん(このひと)の隣にいてもいいのかな)  視線を落とすうち、宗親(むねちか)さんのそばで偽装妻に成りすます事さえも、凄く凄く不釣り合いな気がしてきて。  生家への宣戦布告(あいさつ)の真っ最中だというのに、私はこの場から消えてなくなりたくなってしまう。
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