18.勝算がおありなのですか?

3/15

2302人が本棚に入れています
本棚に追加
/720ページ
「――恐らく柴田(しばた)さんもお察しの通り、僕も織田(おりた)の家にとって、春凪(はな)さんと同じ立場の人間です。なので……僕は柴田家(そちら)に婿養子として入ることは出来ません。実は本日ご挨拶に伺うに際して、それだけが気がかりだったのです……」  そこまで言うと、宗親(むねちか)さんはそばにいる私の手をいきなりギュッと握っていらした。 「まぁ!」  途端、お母さんが嬉しそうな歓声を上げて、 「ひゃっ、宗親(むねちか)さっ……!?」  私がそれをかき消すように驚きの声を上げた。  両親の前で恋人繋ぎの要領でガッツリ指を絡められてしまったのが恥ずかしくて、私、現状から(のが)れようと頑張って手を引いてみたけれどびくともしないの。  宗親(むねちか)さんは、そんなに力を入れて握っているようには見えないのに……。  男性の膂力(りょりょく)にはやっぱり敵わないんだと、私は今更ながら痛感させられる。  お父さんは、怒るでも慌てるでもなく、まるで品定めでもするみたいに無言でそんな私たちを見つめていて。  それが、やけに不気味だった。 (お父さん、ずっと黙り込んでるけど……一体何を考えているの?)  ソワソワと落ち着かない私の手を離さないまま、宗親(むねちか)さんが、眼前の父をひたと見据えて言った。
/720ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2302人が本棚に入れています
本棚に追加