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でも、それと同時、これで宗親さんと私との結婚のお話も、完全に暗礁に乗り上げてしまったな、とも――。
宗親さんと引き離されてしまえば、私はまた柴田と言う檻の中に閉じ込められた、翼をむしられた鳥に逆戻り。
それがどうしようもなく悲しくて、気が付いたら知らず手が震えてしまっていた。
宗親さんはそんな私に、小さな声で「春凪、大丈夫だから。落ち着いて?」と耳打ちなさる。
宗親さん。
それは……何か他に策がおありなのでしょうか?
それとも……もしかして時間が解決してくれると思っていらしたり?
きっと今、父を陥落出来なかったら、次にうちの実家の敷居をまたぐときには、祖父が出てきてしまっていますよ?
そうなったら、いくら宗親さんでも勝ち目がなくなってしまう気がするのは私だけでしょうか?
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