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「宗親さん、うちの父と祖父をどうやって説得なさるおつもりですか?」
帰りの車中。
結局私の地元まで出向いたのに、跡取り問題が解決に至らなくて、一時的に上手く進んだかに思われた宗親さんと私の婚姻の話は一旦保留になってしまった。
父としても、織田家のような格違いの家との縁故を無下に手放すのは惜しかったのか、頭ごなしに反対という感じではなくて。
「親族で話し合う時間をいただけないだろうか」
結局どこか煮え切らない態度でそう言って。
父の言う〝親族〟にはきっと母や祖母は含まれていない。
結局のところ自分だけで判断が出来そうにないから、祖父と相談しようという腹積りなんだろうな。
父より柴田の家の存続に執着しているように見える祖父がどういう結論を下すのか、私は実際心配でたまらないの。
だけど宗親さんは全然焦られている様子はなくて。
うちのおじいちゃんのことを知らないから、きっとこんなに悠長に構えていられるに違いないの。
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