2302人が本棚に入れています
本棚に追加
/720ページ
***
「そう言えば春凪。ブルーチーズはお好きですか?」
服が宜しくないし、どうやって部屋に戻ろうかな?とか考えていたはずなのに、ふと思い出したようにそう問い掛けられた私は、思わず「大好きです!」と身を乗り出してしまう。
同居を始めてすぐ、私が無類のチーズ好きだとバレてしまってから、私の機嫌が悪くなるとそれを懐柔するみたいにチーズを引き合いに出されるようになった気がする。
冷蔵庫の中。宗親さんがそんな目論見のもと溜め込んだと思しき高級そうなチーズが、いくつかひっそりとストックされているのを私、知ってるんだから。
(あのチーズ、いつもどこから仕入れておられるのかしら)
宅配便が届いている気配はないのに増える、スーパーなどでは見たことのない銘柄ばかりの高級チーズに、私の大好物への興味はいや増すばかり。
そう言えばお酒類もそんな感じで増えている気がするから、お酒とおつまみセットでどこかそう言うのを入手できる特殊な裏ルートでもお持ちなんじゃないかしら?とか、ソワソワしてしまう。
でも、さすがにいくら一緒に住んでいるからと言っても人様のものを勝手には食べられないから、いつも「いつ解禁してくださるのかな?」と指を咥えて見つめているわけだけど。
それを、宗親さんは大抵毎回こんなタイミングで出していらっしゃるの。
最初のコメントを投稿しよう!