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宗親さんはローテーブルからご自分のグラスを取り上げるとひとくち飲まれて――。
「冗談はさておき攻略相手の情報収集はビジネスにおいては基本の〝キ〟ですから」
とおっしゃった。
ついでのように、例の腹黒スマイルとともに、私を抱き寄せようとしてきた宗親さんにドキッとさせられて。
避けなくてもいいのに心臓がバクバクしているのに気付かれたくなくて咄嗟に彼の腕をかわすと、私はグラスとチーズを手にしたまま宗親さんからほんの少し距離をあけてソファー前に立った。
「晴れて障害がなくなったというのに、僕の婚約者殿はフィアンセに対して随分塩対応ですね」
そんな私を見上げて、宗親さんってば
「――やはりすぐ酔って頂けるよう、ロックをお勧めするべきでした」
などと不穏な一言を付け加えるの。
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