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言葉とは裏腹、楽しそうにクスクス笑うと、宗親さんはご自身の横をポンポンと叩いた。
「――もうしませんから。座って?」
私はそんな宗親さんに反抗して、ソファーには座らず、前に敷かれたラグの上に座る。
宗親さんはそんな私の様子に珍しく一瞬だけ瞳を見開くと、諦めたように小さく吐息を落とされた。
――ごめんなさい、宗親さん。きっと可愛げのない女の子だって思われましたよね?
私も素直になれない自分のこと、常々そんな風に思ってます。
それでも……これだけは言わせて欲しい。
「い、今の織田家が、柴田と同じだったなんて、私、知らなかったです……」
――好きな人のことなのに、少し調べれば分かったかも知れないことを知らなかったのが、実は結構悔しくて情けなくて……私、自分が許せないのです。
だからね。今は貴方に甘える資格がないと思っているとか……。可愛げがない理由はそれなんです、だなんて……声には出せない本音だよ?
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