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「春凪、そんな所で眠ったりしたら風邪をひきますよ?」
言って、トロリとした目の春凪の頬に恐る恐る触れてみる。
――と、
「宗親しゃんの手、大きくて男らしくてカッコいいれしゅね」
ふにゃんと微笑まれて、伸ばした手を小さな手でギュッと押さえられてしまった。
「大好きれす」
スリスリと手に頬ずりされてそんなことを言われたら、手のことを言われていると分かっていても、もしや僕自身のことを好きになってくれたのかな?と勘違いしたくなる。
「春凪?」
――マズイ。可愛すぎて困るんですけど。
だなんて、僕がポーカーフェイスのまま考えているとか、この幸せそうな顔をした女の子は露ほども思っていないんでしょうね。
頬に当てた僕の手を握ったまま、スースーと寝息を立て始めた彼女に、僕は小さく吐息を落とした。
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