20.起きないと襲いますよ?

4/17

2302人が本棚に入れています
本棚に追加
/720ページ
*** 「春凪(はな)、そんな所で眠ったりしたら風邪をひきますよ?」  言って、トロリとした目の春凪(はな)の頬に恐る恐る触れてみる。  ――と、 「宗親(むねちか)しゃんの手、大きくて男らしくてカッコいいれしゅね」  ふにゃんと微笑まれて、伸ばした手を小さな手でギュッと押さえられてしまった。 「大好(らいしゅ)きれす」  スリスリと手に頬ずりされてそんなことを言われたら、手のことを言われていると分かっていても、もしや好きになってくれたのかな?と。 「春凪(はな)?」  ――マズイ。可愛すぎて困るんですけど。  だなんて、僕がポーカーフェイスのまま考えているとか、この幸せそうな顔をした女の子は(つゆ)ほども思っていないんでしょうね。  頬に当てた僕の手を握ったまま、スースーと寝息を立て始めた彼女に、僕は小さく吐息を落とした。
/720ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2302人が本棚に入れています
本棚に追加