1.そんな理由でふられるなんて

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 大学卒業まであと少しと迫った頃。  久々に同級生の彼氏から呼び出された私は、嬉しくて嬉しくて、心が浮き足立っていた。  待ち合わせは夕方ということで、昼間のうちに美容院へ行って。  就職活動を意識して黒に近くしていた髪の毛を、就職も決まったし、もういいよねってラベンダーベージュに染めて、毛先を肩下5センチに切り揃えてもらった。  そんな髪の毛に、ついでのようにゆるふわウェーブのパーマをかけて、ほんのちょっとエアリーさも出してから、小花柄のワンピースにニットのカーディガンを合わせたフェミニン仕様で、そわそわと待ち合わせの場所へ。  なのに。 「春凪(はな)、俺と別れて欲しい」  待ち合わせ時間に10分以上遅れてきた彼は、私を一瞥(いちべつ)するなりそんな言葉を投げかけてきて、1年半のお付き合いに呆気なく終止符を打たれてしまった。  2人とも就職先はそんなに離れていなかったし、大学卒業後もこのまま続いていくんだ。  ゆくゆくは結婚かな?  きっと、彼こそが私を色んな(しがらみ)から解き放ってくれる王子様に違いない!  そんな夢見がちなことを考えていた私には、彼の言葉はまさに青天(せいてん)霹靂(へきれき)。  しかも別れの理由は、エッチの相性が悪いから、とか――。  私みたいなの女は、何度抱いても単調で面白くなかった、正直もう限界なんだと眉根を寄せられた。
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