20.起きないと襲いますよ?

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 一緒に住んではいるけれど、まだ恋人としても婚約者としてもぎこちない僕達だ。  春凪(はな)を縛る「結婚」の2文字は、きっと彼女の中では「契約」とか「政略」といった文言と、切っても切り離せないんだろう。  春凪(はな)の言動の端々にそういう線引きを感じさせられて切ないのだ、と正直に話したら、春凪(はな)は驚くかな? それとも「バカなこと言わないで下さい」って僕を睨みつけてくるだろうか?  最初はその制約のお陰で上手く春凪(はな)を手中に絡め取ったつもりでいた僕だったけれど、この頃は普通に彼女を口説かなかったことを悔やみたくなる時がある。  今更後悔しても仕方ないのは分かっているけれど、もう少しやり(よう)があったんじゃないかとか思ったりして。  春凪(はな)は僕のことを相当な策士だと評しているようだけど、実際の僕は結構なところ、春凪(はな)に関してはしくじってばかりなんだよ。  こんなに春凪(はな)のことが愛しくて堪らないくせに、自分から好きだなんて言える気は全くしないし。  きっとね、駆け引きなんて度外視して素直に「好きだ」と言える男の方が、色恋沙汰においては強いと思うんだ。
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