20.起きないと襲いますよ?

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***  どうやら僕もあのまま寝落ちしてしまったみたいだ。  春凪(はな)の頭が一晩中乗っていた右腕の感覚が余りないのは、ずっと春凪(はな)を離さずに眠っていられた証拠にも思えて。  ――あ、これって結構誇らしい痺れかも?  眠ったふりをしていたくせに、思わず口の端に笑みを刻んだら、春凪(はな)が「宗親(むねちか)さん……あの、ひょっとして……起きて……いらっしゃいま、すか?」と、恐る恐る囁くような声で聞いてきた。  ――狸寝入りもここまでですね。  観念して目を開けたら、思ったより春凪(はな)の顔が間近にあって、僕は少し驚いてしまう。  僕に抱き締められたまま、何とか距離を取ろうと頑張っている風だったから、てっきりもう少し離れていると思っていたのに。 「おはようございます」  真っ赤になってソワソワする春凪(はな)をさらにグイッと引き寄せて挨拶したら「おっ、はよ、ござ、まっ」としどろもどろなのが本当に可愛い。  ――そんな反応されたら、もっともっといじめてみたくなるんですけど。 「よく眠れましたか?」  彼女がしっかり眠れていたことは承知の上で問い掛けたのに、「ねっ、眠れたわけっ……」ないです……とでも言いたげな口ぶりをするから、僕は春凪(はな)を困らせたくなった。
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