22.玉ねぎが目にしみただけ

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 宗親(むねちか)さんの意地悪への怒りと、たったそれだけのことにいとも容易く翻弄(ほんろう)されてしまう自分の不甲斐なさに感情が(たかぶ)り過ぎてしまったみたい。  決まり悪さに涙目になって、それでも負けたくない一心で宗親(むねちか)さんを睨みながら「つっ、常とは違う指示をなさるから……そのっ、へっ、変に思っただけです!」としどろもどろになりながらも何とか言い募ったら、「冗談ですよ」と腹黒スマイルでサラリといなされる。  その上で、「いま頼んだ見積書、本当に急ぎなんです。明日の朝イチで使いたいので」と肩をポンと叩かれて。 「頼りにしています」  そう付け加えられて柔らかな眼差しを向けられた私は、宗親(むねちか)さんから仕事の上で少しは信頼され始めたのかな?と嬉しくなる。  それで、ムスッとしていたのも忘れてパァッと笑顔になった。 「お任せください。織田(おりた)課長!」  手渡された資料を手にガッツポーズをしてみせたらクスッと笑われて、その笑顔に「絶対チョロいって思われた!」って、今更ながらに赤面する。  あーん、私のバカ!  職場では(職場でも)頼りにしまくりの織田(おりた)課長の不在は不安だけど、家でも職場でもずっと一緒なんだもん。  たまにはこうして離れてみるのも大事だよね?  そう自分に言い聞かせた。
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