23.本音と指輪と初めての夜

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***  お風呂から上がると、いつもならリビングで(くつろ)いでいらっしゃるはずの宗親(むねちか)さんが、廊下で待ち構えていた。  今日の宗親(むねちか)さんは珍しく私より先に入浴を済ませていらしたので、持ち帰りのお仕事でもおありなのかな?とか思っていたのだけれど。 「えっ、あのっ。宗親(むねちか)さんっ? なっ、何事ですかっ?」  常ならぬことに戸惑う私の手をギュッと握ると、宗親(むねちか)さんが当然のことのように仰るの。 「さっき、『今夜はいよいよ初夜ですね』ってお話しましたよね? 入籍も済ませたわけですし、今後は春凪(はな)気持ちを『大いに見せることにします』とも宣言したはずです」  確かに夕飯のとき、「今夜は初夜」だの「抱きたい気持ちが限界だった」だの「を大いに見せていくようにする」だの言われはしましたけれどっ。 「――さぁ、湯冷めしないうちに寝室へ行きましょう」  腹黒スマイルとともに一気にまくし立てられて、グイッと手を引かれた私は、「そこまで切羽詰まっていらしたのですか、宗親(むねちか)さぁ〜ん!」と思わずにはいられなくて。
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