23.本音と指輪と初めての夜

12/12
前へ
/720ページ
次へ
 それで、キョトンとした顔で宗親(むねちか)さんを見上げたら「あのね、春凪(はな)。僕だって悪いと思った時はちゃんと謝れる男ですよ?」って苦笑されてしまう。  その言葉に、心の中を見透かされた気がして「えっ。何で分かったんですかっ。エスパーなんですかっ」と思わず口走った私は、結果的に宗親(むねちか)さんのことを「謝れない強情っぱりだと思っていた」と認めたことになってしまって。  宗親(むねちか)さんに、さらに苦い顔をさせてしまったの。  ごめんなさい。反省です。  でも――。 「悪かったと思っていらっしゃるんなら誠意を見せてください。私が宗親(むねちか)さんとの婚姻を実感できるまで、初夜はお預けです。――男に二言(にごん)はありませんよね?」  ねぇ宗親(むねちか)さん。私、もう少しぐらい意地悪をしても構わないですよね?  だって宗親(むねちか)さん、それだけのことを私にしたんだもの。  宗親(むねちか)さんもちゃんと反省してください。  悪いことをしたと認めてくださった後だもん。  今更「それはダメです」とは言わせないんだから。
/720ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2337人が本棚に入れています
本棚に追加